糖尿病について
当院糖尿病外来のポイント

- 糖尿病専門医が9名在籍
様々な知見をもつ医師が、患者さま一人ひとりに最適な治療法をご提案いたします。 - 糖尿病療養指導に精通した看護師が治療をサポート
治療の各段階において、看護師が積極的に介入いたします。 - 糖尿病に関する迅速な検査が可能
HbA1cは最速50秒で測定可能です。また、血算・腎機能などの検査結果も当日中にご説明できますので、スムーズな診療が可能です。 - 最新の糖尿病治療薬を導入
最新のインスリン製剤、GLP-1受容体作動薬などを積極的に採用しております。 - 最新の糖尿病デバイスを導入
CGM(リブレ・リブレ2・G7)、CSII(ミニメド™780G、メディセーフウィズ、SAP)等の機器にも対応しています。 - 糖尿病合併症の早期発見が可能
検査設備・検査技師も充実しており、心疾患、糖尿病腎症などの早期診断を行っております。
糖尿病とは?
糖尿病とは、血糖(血液中のブドウ糖)が通常よりも高くなってしまう病気です。
なぜ糖尿病になるの?
血糖は、体にとって大切なエネルギー源です。食事をすると血糖が上がりますが、それを体の各臓器に届けて使わせる役割をしているのが「インスリン」というホルモンです。このインスリンは膵臓から分泌されます。
ところが、インスリンの働きを邪魔する「敵」がいます。それが内臓脂肪です。糖尿病は、インスリンの分泌量と働き(インスリン抵抗性)のバランスが崩れることで発症します。
少しの内臓脂肪であれば、膵臓が頑張ってインスリンを多めに出すことで対応できます。しかし、敵(内臓脂肪・体重増加・ステロイド薬など)が多かったり、長期間にわたって続いたりすると、膵臓も限界を迎え、インスリンを出せなくなってしまいます。結果として、血糖を処理できなくなり、血糖が高くなってしまうのです。
この状態が続くと、血糖はどんどん上昇し、糖尿病が悪化してしまいます。
糖尿病の診断と注意点
糖尿病は「血糖値」と「HbA1c」という指標によって診断されます。
一般的にはこの2つの値は相関していますが、まれに血糖値が正常でもHbA1cだけが高くなる方がいます。そのような場合、必ずしも糖尿病とは限りません。
残念ながらこの知識が十分でない医師もいるため、「もしかして?」と感じた場合は、糖尿病専門医にご相談されることをおすすめします。
糖尿病の種類

糖尿病には以下のようなタイプがあります:
- 1型糖尿病
- 2型糖尿病
- その他の糖尿病
- 妊娠糖尿病
1型糖尿病
1型糖尿病は、主に自己免疫の影響で膵臓のインスリンを作る「β細胞」が壊されてしまう病気です。インスリンが出なくなることで血糖が上昇し、糖尿病を発症します。
糖尿病ネットワークそもそも「自己免疫」って?
免疫とは、体に侵入してきたウイルスや細菌をやっつける仕組みのこと。通常、免疫は「自分」と「外敵」を正しく区別して働きます。
しかし、何らかの原因で自分自身の細胞を敵と認識し、攻撃してしまうことがあります。このような病気を「自己免疫疾患」といいます。
自己免疫疾患には1型糖尿病のほかにも、バセドウ病や橋本病(甲状腺)、関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなどがあります。
2型糖尿病
もっとも一般的な糖尿病で、主な原因は「内臓脂肪の蓄積(=肥満)」です。
先ほど説明したとおり、内臓脂肪が増えるとインスリンの働きが弱まり、血糖を下げにくくなります。その流れを、HbA1cの値を目安に段階的に見てみましょう。
- HbA1c 5.2以下(正常耐糖能)
内臓脂肪が少なく、インスリンも少ない量で血糖をコントロールできている理想的な状態です。 - HbA1c 5.2〜5.5前後(軽度血糖上昇)
少し敵が増えてきた状態。膵臓がやや多めにインスリンを出して対応しています。 - HbA1c 5.6〜6.4(糖尿病予備軍)
インスリンをかなり頑張って出している状態。血糖は上がってきており、膵臓も疲れてきています。 - HbA1c 6.5以上(糖尿病)
すでにインスリン分泌力が落ちており、早期の対処が必要です。このまま放置すると、インスリン注射が必要になる可能性もあります。
やせ型の2型糖尿病?
「2型糖尿病=太っている人の病気」というイメージがあるかもしれませんが、実際にはやせ型の糖尿病患者さんも多くいらっしゃいます。
このような方は、本当に2型糖尿病なのか?実は診断が難しい場合があります。
例えば、以下の3パターンが考えられます:
- 実は1型糖尿病
糖尿病発症から時間が経って検査をすると、本来1型であっても自己抗体が陰性となることがあり、2型と診断されることがあります。 - インスリン分泌がもともと少ないタイプ
人によっては、生まれつきインスリンの分泌能力が低い方もいます。 - 「代謝的肥満」のタイプ
やせ型でも内臓に脂肪がついている「隠れ肥満」状態で、インスリンの効きが悪くなっている方もいます。
これらの鑑別には専門的な知識が必要ですので、やはり糖尿病専門医の診察をおすすめします。
その他の糖尿病
- 遺伝子異常による糖尿病
特殊な遺伝的要因により、糖尿病を発症するタイプです。 - 二次性糖尿病
他の病気(がん、感染症、膠原病など)が原因でホルモンが異常に分泌され、血糖が上昇する場合です。原因不明の高血糖には、こうした背景が隠れていることもあります。
糖尿病の治療について

糖尿病と診断されたら、「どんな治療をするの?」「薬を飲まなきゃいけないの?」と不安に思う方も多いと思います。
しかし、何よりも大切なのは「早めに受診すること」です。放置してしまうと、インスリン注射が必要になるリスクが高まります。
当院では、まず患者さまの糖尿病のタイプ、インスリン分泌能力、インスリン抵抗性などを丁寧にご説明し、それぞれのライフスタイルに合わせた治療目標を一緒に考えていきます。
糖尿病治療のゴールは「HbA1cを下げること」ではなく、「糖尿病に振り回されず、人生を楽しむこと」だと私たちは考えています。
例えば…
- 80歳以上で軽度の糖尿病の方
「食事は無理に制限せず、楽しんでください。薬も最小限で良いでしょう」とお伝えします。 - 30代の肥満の方
HbA1cを5.9%以下に改善し、薬を減らし、最終的には薬をやめられるようなサポートを行います。
治療戦略について
糖尿病の治療は、「rPDCA(計画・実行・確認・改善)」を回すことが大切です。つまり、日々の暮らしの中で、少しずつ前に進んでいくこと。
私たち医療チームは、患者さまが自分の力で改善できるようサポートする「伴走者」でありたいと考えています。
治療の具体例
①インスリン治療が必要な方(1型糖尿病など)
個別に最適な治療を提案します。
②インスリンがまだ出ている2型糖尿病の方
この場合、食事療法・運動療法・薬物療法がありますが、最も重要なのは「食事療法」です。
なぜなら、運動や薬よりも、食事による血糖改善効果の方が圧倒的に大きいからです。
実は、私たちは知らず知らずのうちに、思った以上のカロリーを摂取してしまっているのです。
よくある原因は?
- 甘い飲み物(レモンティーやジュースなど)
- 果物の摂りすぎ
- 間食(お菓子など)
- ご飯の量(茶碗が大きすぎる!)
これらを見直すだけで、1か月で大きな改善が期待できます。
最後に
まずはご自身の食事を見直すことからスタートしましょう。
それでも改善が難しい場合は、お薬の使用を検討していけば大丈夫です。
糖尿病の治療は「一人で戦うもの」ではありません。
私たちは、患者さまにとって信頼できる伴走者でありたいと考えています。
糖尿病について少しでもお悩みがある方は、ぜひお気軽に当院へご相談ください。
糖尿病合併症について

糖尿病に関連する合併症は、細小血管障害と大血管障害の2つに大別されます。3大合併症には、網膜症、腎症、神経症があります。
細小血管障害
1. 糖尿病網膜症
目の内側には網膜という組織があり、光や色を感じる神経細胞が敷き詰められています。高血糖が長期間続くと、網膜の細い血管が動脈硬化の影響を受け、血流が悪化します。その結果、酸素や栄養が十分に供給されず、視力低下を引き起こします。進行すると、出血や網膜剥離、最悪の場合失明に至ることもあります。また、白内障の合併率も上昇します。糖尿病網膜症は、進行するまで自覚症状がないことが多いので、特別な異常を感じなくても定期的な眼科受診をお勧めします。
2. 糖尿病神経障害
末梢神経が主に障害されることにより、さまざまな症状が現れます。例えば、足の痺れや、やけどや怪我の痛みに気づかない、胃腸の不調(下痢や便秘)、立ちくらみ、排尿障害、発汗異常、勃起不全などです。神経障害の進行度を把握するのは難しいことが多いですが、当院では「CVRR検査」を行い、全体的な神経障害の進行状況をチェックしています。
3. 糖尿病腎症
高血糖が続くと、腎臓内の糸球体の毛細血管が傷害を受け、腎機能が低下します。最終的には人工透析が必要になることがあります。人工透析は週に2〜3回、1回4時間ほどかかるため、生活に大きな影響を与えます。糖尿病性腎症は自覚症状がほとんどなく進行するため、定期的な腎機能検査が重要です。近年では、糖尿病性腎症の進行抑制に有効な薬剤(SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬)が報告されており、当院では積極的にこれらを使用しています。
大血管障害
高血糖が続くことで、太い血管にもダメージが生じます。このダメージを動脈硬化と呼び、動脈硬化を起こした血管は狭くなり、場合によっては血管が完全に詰まることもあります。血流が悪くなる、または詰まると、様々な病気が引き起こされます。血糖コントロールの目標は、HbA1cを5.9%以下に保つことです。
大血管障害は、糖尿病に加え、以下の4つの要素が合わさることで起こりやすくなります:
- 高血圧
- 脂質異常症
- 肥満(特に内臓肥満)
これらの要素は「メタボリックシンドローム」の一部であり、動脈硬化を引き起こします。喫煙、加齢、運動不足、ストレス、不適切な食生活も動脈硬化の原因となるため、予防には糖尿病治療のみならず、肥満や高血圧、脂質異常症など他の生活習慣病の治療も並行して行うことが重要です。
1. 狭心症・心筋梗塞
冠動脈(心臓に酸素や栄養を供給する血管)が硬化し、狭くなると、血栓(血液の塊)が詰まり、血管を塞いでしまいます。これにより、酸素供給が不足し、心筋梗塞を引き起こします。糖尿病による神経障害を併発している場合、痛みを感じない「無痛性心筋梗塞」が起こることもあります。当院では開院以来、心電図、CAVI検査、頸動脈エコー検査の結果から50名以上の無症状狭心症患者を早期発見しております。
狭心症、心筋梗塞が疑わしい場合は、循環器内科にて冠動脈CT等にて精査を行い、必要に応じ、心臓カテーテル検査、治療へと進んでいます。
2. 脳梗塞
脳の血管が詰まることにより、血流が停止し、脳梗塞が発生します。閉塞箇所により様々な症状が現れます。当院では頸動脈エコー検査で評価を行っています。高度狭窄が疑われた際には、脳神経外科に紹介いたします。
3. 末梢動脈疾患
足の動脈硬化が進行し、狭窄や閉塞を起こすことにより血流が悪化し、足やふくらはぎに痛みが生じることがあります。進行すると、足の潰瘍や壊疽(えそ)、最悪の場合、足を切断しなければならないケースもあります。ABI検査により評価を行っています。明らかなABI低下の際には循環器内科へ紹介いたします。
クリニック概要
受付時間
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日祝 | |
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8:45~16:15 | ● | ● | ★ | ● | ● | - | |
8:30~12:30 | ● | - |
所在地
〒362-0075
埼玉県上尾市柏座2丁目4−28 エリア赤熊 1F
電話番号
080-7797-8569
交通アクセス
JR高崎線「上尾駅」西口より徒歩約5分の立地にあり、公共交通機関をご利用の際も至便です。
駐輪場について
当院入口左手側に専用駐輪スペースを設けております。(赤丸表示の位置)
駐車場について
以下の提携駐車場をご利用の患者さまには、1時間分の駐車料金無料サービス券をお渡ししております。
- シード第6駐車場
- カーオアシス上尾西口駐車場
ご利用の際は、会計までお申し出ください。

会計方法
各種クレジットカードによるキャッシュレス決済に対応しております。
(対応ブランドの詳細は窓口にてご確認ください)
診療科目および対象疾患
当院では、以下の疾患領域を中心に、専門的かつ継続的な診療を提供しております。
- 糖尿病(1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病、その他特殊型糖尿病を含む)
- 内分泌疾患(主に甲状腺疾患)
- 高血圧症、脂質異常症等をはじめとする生活習慣病
エビデンスに基づいた医療を提供しつつ、患者さまの生活背景や価値観を尊重した個別性のある診療を心がけております。
院長
松本 壮一(まつもと そういち)
日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医